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『ヒメアノール』を観ました。 [映画]

     
『ヒメアノール』
2016年公開作品。
意外と最近だったんだなぁ…。

ちっと、いろいろネタバリ有りの感想になります。
でも困る人はいないと思うので、そのまま下に。

原作未読。

難解なテーマなどはなく、
むしろイジメの構図や殺人事件そのものは、
『クリーピー』に比べたらすごく判りやすいし、入りやすい。
タイトルのヒメアノールは、ヒメトカゲの造語ではないかと言われていて、
これは小さな小さなトカゲが、食物連鎖の最下層で食われる図、
そのまま、森田が高校でイジメられていた図式を彷彿とさせられるためです。
他にも、たぶん冒頭三分の一までの、
カフェで人気の〝姫〟を巡るコメディ、と思わせたかったタイトルでは?

言ってしまうと、他の作品や現実問題でもあるように、
イジメられていた人も自分より弱い人をイジメていたり、
イジメっ子は家で虐待されていたり、
子供を殴ってる奴は会社で怒鳴られていたり、
会社で怒鳴ってる奴は奥さんに怒鳴られていたり、
奥さんはママ友にハブられてたり。
この歯車のどっかで「やってらんねぇ」とキレたのが森田で、
そのキッカケはともかくとして、
一度回り始めれば、狂った歯車でも作用する、
という身近な恐ろしさがテーマですね。

でも映画には随所に救いがちりばめられていて。
たとえばコミュ障の先輩、ムロツヨシは、
姫に運命を感じていて
後輩の濱田岳に仲を取り持ってくれと頼むわけですが、
その際に、もし奪ったりしたらチェーンソーで切り刻んじゃう、
くらいの脅しをかけるわけですが、割とあっさり持って行かれてしまう。
話が進んで、姫と後輩の関係を知り、
いい年をして「絶交」を宣言しつつ、
ムロはちゃんと会社にも行くし、
街で姫のストーカーと認定している森田を見つけると、
注意もするんですよ。
ところがそこでピリピリきてる森田に撃たれて死にかけてしまう。
姫も後輩もムロのことをかなり面倒に思ってたわけですが、
ムロは、見舞いに来た二人を「お前らのせいだ」と責めるどころか、
「自分が余計なことをした、自業自得だ」と言ってしまう。
それどころか「絶交なんて言ってゴメン」と謝り、
「親友だよね」と確認するんです。
この先輩はちっともおかしな奴じゃなかったんだ、
と、観客がホロリとしていい場面です。

森田の殺害方法はかなりマンガ的で、
近年の邦画では『冷たい熱帯魚』以来のリアルな怖さがありました。
最近観たので例に出してしまいますが、
個人的には『クリーピー』の香川さんより、
今作の森田剛君の方が、遭遇したくない殺人者でしたね。
変だな、おかしいな、と思う前に殺されてますからね(-_-;)

ただ、残念なのは作品そのものに奥行きがないので、
一回観てしまうと、何度も観たいと思わせる魅力まではないんですね。
これは途中から後輩ではなく森田に感情移入させるためでしょうが、
(タイトル等も三分の一から入る)
森田がどんなにひどいイジメにあって壊れてしまったにせよ、
結局は自分をイジメていた主犯は殺害してしまっているし、
その後も働かず恐喝で遊興三昧、
同情の余地や、まして感情移入なんてとんでもない人物像なわけで(-_-;)
コミュニケーションが上手でなかったり、
将来に夢も希望もなかったり、
そんなムロや後輩でも、生真面目に働き、
日々、生きている姿がきっちり描かれているので、
森田の場合はもしイジメがなかったにせよ、
いずれは何かのせいにして単身では生きていけない
弱く歪んだ生き物なのだと思います。
その森田を主人公にされてもなぁ……
というのが、どうにも作品としては
B級の〝ちょっと変わった〟という範囲から抜けられない点かと思います。

グロ描写が平気で、
ハラハラ危険なサスペンススリラー系がお好みの方にオススメです。



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